江戸のはずれの、雑司が谷村の物語
〜豊島区雑司が谷は都電荒川線や都立雑司が谷霊園、旧宣教師館、鬼子母神など、昭和の面影を遺す町並みが魅力的な地域です。「墨東奇譚」「復讐するは我にあり」「ゲンセンカン主人」など映画、「元カレ」「ちゅらさん」などドラマのロケ地になったり、著名人の墓が多いため休日はカメラ片手のおじさんがうろうろしてます。時代小説の舞台にもなってます。「鬼〜〜平犯科帳」が代表でしょうか。霊園は旧幕時代には将軍家の鷹匠屋敷だったそうです。その鷹匠の部下にあたる、お鳥見役という幕臣を主人公にしたのが本シリーズです。 将軍家の鷹狩りの際、場所の下見をしたり、お鷹場の管理、鷹のえさの手配などを司るのがお鳥見役の仕事だそうですが、将軍家が地方で鷹狩りをする際の下見も仕事だったとかで、お役目に〜〜かこつけて各地の政情を報告するスパイも兼ねていた、というのが本作のミソ。下っ端幕臣・お鳥見役の妻が、引退した父や現役の夫、跡継ぎとなる長男、部屋住みでやるせない次男といった面々の心配をしつつ、明るく生きるさまが淡々とつづられます。こう言うと地味で退屈なお話っぽいですが、工夫が凝らされており、謎が後を引くなど飽きさせません。 派手〜〜でキャッチーなキャラは出てきませんが、ちょっと地味だけど現代に通じるところも多い下級武士の暮らしを陰影鮮やかに描く、読み応えのあるシリーズです。ぜひ、読んでみてください。グーグルで「雑司が谷」を検索すると散歩した人のブログとかがたくさんヒットしますので、それらの写真で雑司が谷の面影を楽しみつつ、200年前を思い起こしながら。〜
新潮社
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